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触れない猫との生活 第2回:姿が見えない毎日に不安と焦りが募る

第2回:姿が見えない毎日に不安と焦りが募る

Mさん家族は、2017年5月にねこさんを家にお迎えしました。その時の様子はというと……。

前回の記事 第1回:娘との共通点がねこさんとの出会いのはじまり

姿が全く見えない毎日に焦り

Mさん:ねこさんがうちに来た初日、用意したケージにキャリーバックごと入れたら、ねこさんはすぐにキャリーバックから出て、そのまま固まってしまいました。翌日娘が「猫には猫のペースがあって、触れる、触れないというのは人間の都合だから、ねこさんをケージから出そう」と言い、ケージの扉を開けました。待ってましたとばかりに、ねこさんはすぐにケージからでたのですが、それから姿を全く見せなくなり、毎回予想もしないところに隠れてしまいました。家の中にいるとはわかっていても、毎日猫の姿が全く見えず、泣きながらねこさんを探したこともありました。

来た当日のねこさん。このまま体は動かず目だけで人の動きを追っていたそう

ねこさんは娘の使ったものの上にいた形跡があって、娘のパジャマやソファーで娘がいつも座る場所などがお気に入りのようでした。姿が見えずとも、ご飯は食べていて、トイレもしているのには安心していました。しばらくたって私にも余裕がでてきて「かくれんぼの名人は、今日はどこにいるだろう?」と探す楽しみが生まれてきました。

ウサギが使っていたソファーに座るねこさん。この姿を見た時も感動しちゃいました(Mさん)

Mさん:家にきてから1か月が過ぎた頃、ねこさんも徐々に私たちがいても姿を見せる始め、時折、キャットウォークの最上段から、私たちを見下ろす姿も見られるようになりました。私がお風呂からあがった時、ソファーで伸びて寝ている姿を見つけた時には、「こんな姿が見せてくれるんだ」と思ったら涙が溢れてきて、写真を撮っていたら、すぐ起きちゃっていなくなりました(苦笑)。

ソファーで伸びるねこさん

娘はねこさんとの距離がどんどん縮んで、シャーシャー言いながらもおやつを娘の手からもらったり、ねこじゃらしで触ることもできるようになってきました。

病院に連れていけないことに打ちのめされる

Mさん:少しずつお互いいい感じになってきた時、ねこさんに膀胱炎の症状がみられるようになりました。

血尿も確認できたので、病院に連れて行かねばとねこさんを捕まえようとしましたが、すっかり隠れてしまい、全く捕まりません。困り果てて獣医さんに様子を電話したら「シェルターにいた3年の間にも膀胱炎をもって暮らしていたのかもしれない。今家族との信頼が生まれてきたところなので、様子を見ましょう。本当に具合が悪くなったら、動きが遅くなって捕まえられますよ」と話してくれました。

それまで、ねこさんを触れなくとも、不安はなかったのですが、この時にはじめて「触れない猫」だと病院にかかることができないという事実に打ちのめされました。

多少時間がかかるかもしれないけれど、しばらくたったらねこさんに触ることが出来るんじゃないかとも思っていました。この件でねこさんを触れないことへのプレッシャーを強く感じるようになり、焦りもでてきました。

それから毎日私はねこさんのことで頭がいっぱいになり、触れる猫のことが書いてあるブログなどを見ることができなくなってしました。

気持ちが落ちこんでいる時に、アニマルエイドのお掃除ボランティアに行き、掃除をしながらスタッフの方と雑談をして、今のねこさんとの様子を話しました。すると「おひとりで抱え込まないで、私たちに何でも話してください。いつでもお話しを聞きますよ」と言われて、それまでのモヤモヤがだいぶ軽くなりました。

ねこさんの里親になった後も関係性が続いているアニマルエイドには、本当に感謝しています。

この頃は、アニマルエイドのスタッフの方の他にも、友人やインターネットで出会った猫仲間の方にもたくさん相談をしました。いろんな方の意見を聞きながら、うちのねこさんの様子を眺めていたら、ごはんを用意している後ろで静かに待っていたり、トイレの最中に私たちと目があったりと、ねこさんなりに私たちに歩み寄っている姿が増えていることに気づきました。

「ねこさんにはねこさんの世界があって、私たちを同居人として見ているんだ」と思った時に、触れないねこさんとの関係を受け入れることができました。

そおっと隙間から覗いているねこさん。ねこさんらしい!とパチリと取った1枚

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