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さいたま市の野良猫現場より その1

先月の川越市に続き、さいたま市で地域猫活動を続けるHさん親子に現地を案内してもらいました。

アニマルエイドのレスキュー隊員としてもご協力をいただいているHさんは、親子で活動中。「レスキュー現場報告」シリーズでも現場の活動内容は詳しくお伝えしておりますので、Hさんが現場に関わるようになった経緯など、ご興味のある方は「その1」からお読みになってみて下さい。(現在その17まで)

今回は住宅街という事もあり、写真はあえて撮ってきませんでした。

待ち合わせ場所にてまずHさん、「せっかく来ていただいたのに、もしかしたら1匹も出てこないかも・・・」と申し訳なさそうに言うのです。
え、なんで?と聞いたら、最近、猫が来たり来なかったり、TNRが進んだので頭数も10匹以下に減っているので。との事。おまけに警戒心がつよい子が多いので、会えるかどうか微妙かな、と。
なるべく端っこでそっとしているのでお願いします、とついていきました。

車から用意してきた荷物が降ろされます。
ドライフードと缶詰類がいくつか、それにスーパーのお肉とかが入っているような白いパックによく似たお皿、それにゴミ拾いなどで使う大きなトング。

場所は住宅街のはずれ、一本向こうは大通りです。時々車の往来があり、ジョギングの方などもすれ違います。
「あ、いたいた」との声に横を見ると、まずはアスファルトで保護色になっているキジトラがのっそりと起き上がりました。

他に草むらから数匹、姿は確認できますが、数メートルは距離をとっています。
お皿にフードを盛り、ゴミ拾い用のトングで挟んで、猫のなるべく近くへ置いてあげています。

これは、逃げちゃうからかな?と思っていたら、
「ここ、空き家だけど個人の敷地になるんで、堂々とは侵入できないんですよね~。でも道路まではなかなか出てこなくて、苦肉の策です。」と苦笑いで教えてくれました。近隣住民の方の理解をいただきながらの活動、気を付けるべきところが色々あるようです。

猫達がそろそろと出てきたり、周りをすり抜けたりしながら、自由にご飯を食べ始めるのを、しばし様子を見守ります。
ふと気になったのが、道路の向かい側が新築の工事現場でした。

「うん、工事が始まったら、また移動しちゃうかもしれませんね。もともとここの子達は結構広い範囲でみかけてて、たぶん他にも餌場はあるんじゃないかと思う。でも大通りで何匹も交通事故で轢かれてるし、できればあまり移動しないで欲しくて、ご飯あげてるのもあります。あとこの空き家がなくなったり、引っ越してきた人が猫嫌いじゃなきゃいいんだけど」

話を聞くと、公園などの公共施設で暮らす現場に比べ、常に環境が変化しやすいんだなあと思いました。手術が終わり繁殖しなくなっても、いつまで安定してそこで暮らせるかはわからないのですね。

しばらくそこで待っていると、猫達が順々に食べ終わり、くつろいだ様子に変わってきました。

「ここの現場はもともとの餌やりさんが今もいるので、連絡取り合ってかぶらないようにしてるんです。最初は人の目を気にして地面に直接おいて立ち去ったりとかしてたみたいなんで、お皿に置いて毎度回収しましょうって話して、今はきちんとやって下さってます。」

Hさんが現場に介入してから2年足らず、最初の状況からは考えられないくらい落ち着いたようです。

ただ、ふっと顔をあげて、顔を曇らせたHさん。

「あとはそっちの公園に野良猫がたくさんいて、全然耳カットされてないんですよね。えさを上げにきている人はたくさんいますけど・・・本格的にTNRするなら現場に介入したいけど、頭数すら確認できなくて。こっちに流れてくる子もいますけど、この子達が追い返しちゃうし」

視線の先には、大きく木立が広がった森のような場所が見えます。

「この子達の食べ残しだけいつもあげに行くんで、そっちに移動しましょうか。」

フードのお皿を手に、歩き出すHさんについていくと、ほんの数百メートルしか離れてないのに、全く違う状況を目の当たりにすることになりました。

(その2へつづく)

 

 

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