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川越の公園の猫達 その3

「さて、ここからはまた公園の中に歩いて行くわよ」
またすたすたと暗い公園に入っていくSさん。
次にたどり着いたのは川にかかった橋のたもと。

「この下にいつもくる子がいるのよ。姿はあんまり見せないんだけど」

ご飯のお皿を持って、ぬかるんだ川の土手を下っていきます。
大丈夫ですか?!転ばないで、と声を掛けたら
「そうなのよ、前なんか顔から落ちて大変だったのよ~」と笑いながら答えてくれます。

こんな所まで、毎日毎日・・・

この原動力はどこから来るんだろう。どうしたらこの活動を支えられるんだろう、と、小さな背中を見ながら想いを馳せました。

ふと気が付くと、2時間半が経過していました。
Sさんが持ってきたカゴの中の山盛りご飯はすっかりカラになっています。
しかし、これで終わりではありません。
もう一度すべてのポイントをまわり、お皿や食べ残しを片付け、ゴミを全部持ち帰るのです。

蚊に刺された手足はもうかゆいというよりひりひりしています。
どひゃー、という顔をしている私に、Sさんはさらりと
「だって、さっき置いて行ったご飯、警戒してる子達が食べに出てくるまでに時間かかるもの。」
それですべてのポイントにご飯を置いて一旦移動してたんですね。

 

作業の合間に気になる事を色々聞いてみました。

  • 今、一緒にやろうと思ってくれる人はいないんですか?
    「たまにご飯を持ってきたりする人はいるけどね、今はなんでもがつがつ食べるわけじゃないのよ。年も取った子が多いしね。でも食べなくても気にしないでおいていく人も多いし、結局片付けないで汚れてしまうから、毎日ちゃんと来られないなら餌を置かないでくださいっていうの。捕獲やお薬もあって、ただ置けばいいってもんでもないし・・・今までのやり方をわかってくれて、しっかり分担してくれる人がいればお願いしたいけど」
  • 色んな人に何か言われたりしませんか?
    「そんなの、しょっちゅうよ。駐車場に車を停めさせないようにしたり、こんな広い公園なのに肩をぶつけてきたり。でも話をすればわかってくれる人もいるけど、大抵の人は関わらないほうがいいって思ってるでしょうね。猫を捨てに来た人を見つけて、警察に来てもらった事も何度もあるのよ。」
  • この子達って、どんな存在?距離感というか気持ちははどんな風にとらえてるんでしょう?
    「飼い猫とあまり変わらないわね。ちゃんと毎日おなかいっぱい食べさせてやりたいし、寒い時にはせめて暖かい敷物を用意してあげたい。外にいるから事故にあったりいつの間にかいなくなったりして悲しいけど、そこは仕方ないって思う。だから一緒にやってくれる人がいたとしても、同じように愛情をかけてお世話して欲しいと思うの。難しいのはわかってるんだけどね」

 

現在の話、過去の話なども織り交ぜながら、ここには書ききれないほど語ってくれたSさん。
実際に現場に足を運んでみて思ったのが、この現場からすべて猫がいなくなるのは非常に困難な環境だという事。

地域猫活動はまずはその場にいる猫達を把握、不妊去勢手術するために捕まえるわけですが、最初は警戒心の少ない子から捕獲機などで捕まるものの、そのうち頭がよくて捕まりにくい子や、なぜか何度も捕獲機に入ってしまう子が出てきます。
何とか全て(またはメスすべて)が避妊去勢され、繁殖しなくなり、だんだん数が減っていき、1代限りの命を全うして終息、というのを目指して行われます。

しかし現実は、何かの理由で違う猫が入り、数が減ってもゼロは難しい、という場所も多いのです。

公園内の猫は今、約20匹~30匹ですが、これは捨て猫防止策をして避妊去勢をしているからこの数で落ちついている、という状況です。
実際、この公園で生まれてしまった子はもういない、すべて捨てられた子達だとの事でした。

Sさんの境遇や年齢を考えても、このまま手をこまねいているわけにはいきません。
少しでも、Sさんの負担を減らせるように、一歩ずつでも、進んでいかないと、結局はまたこの公園に猫が溢れかえってしまいます。

地域猫の世話をするという事は、現場の美化や不審者のパトロールにもなり、野良猫による様々な被害も激減します。
関係者みんなにとって非常にメリットが大きいのをわかって欲しいです。

場所は川越市です。どうか、少しでもこの公園の猫達が気になる方、ぜひご連絡を下さい。

この夏中には、一回目の対策会議を開く予定です。どうぞ皆様よろしくお願い申し上げます。