アニマルエイドの新型コロナウイルス感染予防対策

触れない猫との生活 第1回:娘との共通点がねこさんとの出会いのはじまり

アニマルエイドのシェルターにいる子たちの中には、病気を持つ猫や老猫、人馴れが進んでいない猫などもいます。子猫の頃からシェルターにいたねこさん(シェルター名:そらちゃん)は、人馴れが進まず、いつも隠れてばかり。ねこさんを触ったスタッフは皆無でした。触ることのできない猫を里親に迎えたM様にお話しをお聞きしました(全3回)。

ねこさんの経歴:シェルター名そらちゃん(女の子)。2014年7月9日川越市保健所より殺処分前の引き上げ。兄妹3匹同時緊急保護。保護時推定月齢2か月。兄妹ははる、りく。シェルターに来た当初からとても警戒心が強かった。

写真左下がシェルターに来た当時のねこさん

第1回:娘との共通点がねこさんとの出会いのはじまり

 保護猫との出会いは突然に

Mさん:ねこさんと出会う前に、娘が4歳から9年間飼っていたうさぎが亡くなりました。掌に乗るぐらい小さかった頃からずっと一緒に暮らしてきたうさぎで、毎日娘と一緒に寝て、娘が帰ってきたら玄関にお迎えをしてくれる子でした。様子がおかしいと病院に連れていくと「かなり状態が悪い」と言われ、獣医さんから娘に生き物を看取ることを話してくださり、うさぎを家に引き取って、娘と私に「ありがとう」と声を掛けられながらうさぎは亡くなりました。私と娘はペットロスになるんじゃないかと思っていましたが、お別れの時間をやり切った感の方が強くて、うさぎが亡くなった後は、私も娘も楽しかったことばかり思い出しては話していました。

生き物を飼うことは、生を全うするまで責任をもって一緒に暮らすことだと思っていますので、しばらくは、その重圧感から解放されて過ごしていました。でも、ずっと家に生き物のぬくもりがある生活をしていたので、いずれはまた生き物を家族に迎えたいと思い始め、その時は保護猫にしようと考えました。その話を獣医さんにしたところ「出会いは突然来ますよ。だからその流れに逆らわないで、待っていた方がいいですよ」と言われました。

そして、その出会いが本当に突然訪れたのです。

Mさん:あの頃は、時間がある時にインターネットで里親募集の猫を探していました。そんなある日、娘が自分でばっさりと前髪を切ったのです。その行動に私もびっくりしていました。そしてその日もいつものように何気なく里親募集の検索をしていたら……。なんと前髪ぱっつんの娘と同じ模様の猫の写真がスマートフォンの画面に現れたのです。

その写真を2人で見て「似すぎだよー」と大盛り上がり!「この子がうちにくる子だ!」と強く感じたのです。

この写真の子がねこさんです。

アニマルエイドの里親決定ブログより

シェルターでは、そらちゃんと呼ばれていました。まずは会いに行こうとアニマルエイドに連絡をしたところ「そらちゃんはシェルターに生後2か月で来てから3年間、誰も触れない猫なんです」と言われました。

「触れない猫」と聞き、一瞬ひるみましたが、それ以上に会いたい気持ちの方が強くて、娘と二人で会いに行きました。

Mさん:初めてねこさんにあった日のことは、鮮明に覚えています。

保護猫カフェのオレンジルームに入って娘が「そらちゃん」と呼んだら、いつもは絶対に姿を見せないと聞いていた猫がぴょこっと顔を出したのです。スタッフの方もみんなその行動に驚いていました。娘が手にちゅーるを乗せて差し出すとゆっくり舐めだしたんです。

その様子を見て、「うちにくるのはこの子しかいない!」と思いました。

ねこさんにうちに来て欲しい思いは募っていましたが、ねこさんの里親になるということは、これから約15年近く一緒に暮らして、命に責任を持たなくてはいけません。

娘はねこさんと初めて会ったその日に「一緒に家に帰りたい」と言いましたが、私は少し時間をおいて考えたいとスタッフの方に伝えました。もし私たちが考えている間にねこさんの里親が見つかったら、それは喜ばしいことで、ねこさんの運命の里親様なんだと受け止めようと決めました。

里親決定を見て後悔しないか

Mさん:家に帰ってから娘と話し合いを何度も重ねました。

娘から(私が働いているので)「家に帰ってお迎えのないさみしさは想像できないでしょう!」と強く言われたり、私の思いがうまく娘に伝わらないことも度々ありましたが、娘なりに猫のお世話と同時に「自分のことは自分でやる」ことの大切さも芽生え、家での様子も変わってきました。

アニマルエイドのスタッフの方から娘に、猫を飼うことはどんなことかも話してくれたのが、娘に大きく響きとても助かりました。

気が付くと初めてねこさんと会ってからあっという間に、4か月が過ぎていました。

Mさん:もし、アニマルエイドの里親ブログで「(シェルター名の)そらちゃん里親決定!」の知らせが載った時、自分はどう思うか、「よかったね」と思えるか、「うちに来てほしかった……」と後悔するのかを想像したら、後悔する自分がすぐに浮かびました。3年間シェルターにいたのも、私たちを待っていたに違いない!もう迷わない、うちにねこさんをお迎えしよう!と決心がつきました。

私は、実家で長く猫を飼っていました。田舎だったこともあり、猫たちは昼間外にでて、夕方ごはんを食べに帰ってくる生活をしていました。ねこさんを飼うにあたって、完全室内飼いにすることやケージが必要なことを初めて知り、グッズを用意しました。DIYでキャットウォークも作り、お迎えの日を今か今かと楽しみにしていました。

しかし、家に来てから思いもよらないことの連続でした。

保護猫カフェについて http://animal88.net/?page_id=365