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背景ではありません

先日、SNSで読んだ投稿ですが、電車で保護者を困らせるお子さんの話が興味深く、考えさせられてしまいました。

【電車の中で興奮して騒ぐ子供に「周りの人のご迷惑だからやめなさい!」と叱る親御さん、気持ちはわかる。でもそれだけでは子供には理解できないのは当然。
なぜなら「周りの人」は礼儀正しくそこにいるだけだから、子供から見たら電車の椅子や手すりの一部、背景と同じにしか見えていない。だから私は時々「背景」からわざと飛び出して、子供に大人しくしようね、と穏やかに頼むのだ。】

文章は正確ではないのですが、こんな趣旨でした。そして、
「そこにいるだけの存在は、背景の一部に見えてしまう」
この言葉は、そのままシェルターの長期滞在の猫にも当てはまるような気がしてしまったのです。

保護されてきてまだ日が浅く、お部屋に入ったばかりの猫は、当然ですが健康状態も頻繁にチェックしますし、メンバーが変わるとやはり新鮮な気持ちがしています。でも日がたつにつれ、猫自身が生活のペースをつかみ、お世話する人間もその様子を見て安心して、ルーティンの中に組み込まれると、日常の一部になっていく気がします。

これはお世話の手を抜くとか、愛情が薄れるとかの話ではありません。スタッフは毎朝、全ての猫1匹1匹様子をみて、名前を呼び、小さな変化も見逃さないように注意をしています。

思うに、「背景」になって埋没しやすい子は程々に人馴れしていて、大人しく、ご飯の好き嫌いを言わず、自立した大人の猫が陥ってしまいやすいように思います。落ち着いて環境に適応しやすいので本来は飼い猫として優秀なのですが、可もなく不可もなく、という評価になってしまうのです。

甘えん坊でアピール上手な子や、可愛い盛りの子猫が注目を浴びるのは当然で、悪い事ではありません。一日も早く、卒業できる子はさせてあげたいです。

でもその隣でただポツンと座っているだけ、おもちゃもおやつも他の子に遠慮してこられない、そんな子達もたくさんシェルターには暮らしています。
どうか、保護猫カフェでそんな子を見つけてあげて下さい、少しだけ、その子のために時間をあげてください。無理に構ったり、触れたりすることはありません。
「ただじっと一緒にいて、リラックスする」だけでいいのです。それだけでちゃんと伝わります。

猫と時間を共有して、「何もしない」を楽しむ。

これも、保護猫カフェの一つの楽しみ方です。
そこから、思いがけない出会いにつながるかもしれません。

 

 

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